期間は、2~3か月しか持続しないこともあれば、数年間、あるいは大人になっても持続することもあります。小さな声では話す、首を振って意思表示をする、特定の人とは話す、誰とも話さないなど、症状の程度はさまざまです。中には、人前で食事をしたり、公衆トイレを使用したりすることが困難な方もいます。また、自身の言語能力に対し、長く劣等感をもつ場合もあります。
選択性緘黙(せんたくせいかんもく)というのは、言語能力は正常であるのに、特定の場面(職場や会合など)や人に対して、話すことができない状態です。場面緘黙症とも言います。
家庭では良く話すことが多いので、周囲から「ただの人見知り」と誤解されたり、成長とともに治るだろうと見過ごされてきたケースも少なくありません。また、静かで周囲に迷惑をかけるわけではないため、深刻に捉えられず、適切な支援につながらなかった方も多くいらっしゃいます。しかし、社会生活での苦痛が強い場合や、長期化している場合は、早めに一度受診されることをお勧めします。なお、生活場面全体にわたって話せない場合は、全緘黙と言いますが、選択性緘黙に比べると稀です。
選択性緘黙の原因は、ご本人自身の要因と環境的な要因があります。ご本人自身の要因としては、感受性の強さや、言語発達の過程で生じた苦手意識などが考えられます。環境的な要因としては、家族の中で極度に内気な人や選択性緘黙な人がいるような遺伝的な影響も考えられます。
共通することは、家庭外での強い不安で、社会不安症を合併しています。職場への適応が困難になることや、対人関係で悩まれることも少なくありません。また、二次的に強迫症状、気分の落ち込み、あるいは強い葛藤による反抗的な態度や攻撃的な反応が認められることもあります。
緘黙(かんもく)の状態は、成人の方であっても適切なアプローチによって改善していく例が多くあります。話すことを自分に強いたり、周囲が無理に話させようとすることは、かえって症状を悪化させることにつながります。むしろ、根底にある強い不安を正しく理解し、安心できる環境を整えることが大切です。
選択性緘黙についてお悩みの方、またはご家族も、まずはご相談ください。
※当院では、18歳以上の方を対象に診察を行っております。