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パニック症(パニック障害)

パニック症の主な症状

パニック発作

突然、何の前触れもなく、下記の症状が数分~数十分あらわれる。

  • 動悸、息苦しさ、過呼吸、めまい、震え、しびれ、吐き気などの体の症状。
  • 「自分がコントロールできない」「死んでしまいそうだ」といった恐怖感。
  • お子さんの場合、吐き気や便秘が症状になることも多いです。

予期不安

発作がまた起きるのではないかという不安から、下記の症状があらわれることがある。

  • 発作が起きた場所を避けるようになる。(=広場恐怖)
  • 外出できなくなる。

発症が1回だけでも、予期不安が1か月続く場合は、パニック症(パニック障害)の可能性があります。うつ病などの他の精神疾患を併発することが多いのも特徴です。

パニック症って?

一般的にいう「パニック」とは、災害や事故などの非常事態に出会ったときに起きる混乱状態のことで、普段どんなに冷静な人でも、衝撃的な状況に見舞われればパニックに陥り、慌てたり取り乱したりするものです。これに対し「パニック症」は、実際には何も特別な事態が起きていないのに、突然不安に襲われ、胸がドキドキして苦しくなったり、めまいや震えなどの発作(=パニック発作)が出てきたり、日常生活に支障が出る状態を言います。こうした症状をパニック症もしくはパニック障害と呼びます。

繰り返される発作によって起こる予期不安

一度このパニック発作が出ると、発作が起きていないときでも「またあの発作が起きるのではないか」という不安を常に抱える状態になり、発作の恐怖とともに、発作によって他人に迷惑をかけるのではないか、取り乱して恥をかくのではないか、誰も助けてくれなかったらどうしようといった不安(=予期不安)も抱えることになり、外出などを制限してしまいます。

20人に1人がかかるパニック症

以前は「不安神経症」の一つの症状とされていましたが、薬による治療が有効なことから、現在では独立した病気として扱われるようになりました。およそ20人に1人がかかる病気といわれていますが、病気だと気付かない人が多く、適切な治療が行われないまま慢性化・重症化してしまうことがあります。パニック症(パニック障害)は早めに治療を開始すれば治る病気です。気になる症状がある方は、早めに受診していただくことをお勧めします。

パニック症の原因

パニック症(パニック障害)の原因は、脳と脳内の神経伝達物質が関与していると考えられています。人間の脳細胞では様々な情報や命令を伝える物質が分泌されていますが、それら物質の働きが乱れ、不安や恐怖を過剰に伝えてしまうと考えられています。

また、直接の原因ではありませんが、パニック症(パニック障害)の患者様に共通する点として、炭酸ガスや乳酸、カフェインなどの摂取により発作がおきる傾向がみられています。加えて、多くの患者様は発症の数か月前に大きなストレスがかかる出来事があったと言います。

パニック症が発症しやすい年代と性別

  • 20~30代
  • 女性の方が多い(男性の約2~3倍)

パニック症の治療法

服薬

パニック症(パニック障害)の治療では多くの場合、薬の服用がとても有効です。脳内の神経伝達物質のバランスの乱れを改善し、発作を抑制する効果があります。服薬治療を行うと同時に、発作時に感情をコントロールできるようにする認知行動療法を行うのも有効です。

認知行動療法とは、物事の受け取り方、受け取り方の癖を発見し、物事がうまく進むような方向に受け取り方を変化させる事です。人によっては薬より効果が早くあらわれることもあり、辛い気持ちを軽くするのに効果的と注目されています。

薬による発作の抑制

抗不安剤や抗うつ剤の服用で脳内の神経伝達物質のバランスの乱れを改善し、不安や発作が起きにくいようにすることから始めます。発作が起きなくなると、苦しい発作を繰り返すのではないかという不安や恐怖を軽くすることができます。

自分の判断で服用をやめない

パニック症(パニック障害)の薬は、すぐに効果が出るものではありません。効果が出るまでは、数週間継続的に服薬する必要があります。

また、その患者様に「合う」薬が見つかるまで、何度か薬を変えたり足したりしなければならないため、長期間薬を飲み続けることになり、不安を感じることもあるでしょう。まずは、病気を治すために薬が必要であることを理解してください。自分の判断で薬をやめることはしないでください。

もし不安があるようでしたら、担当のドクターに伝え、きちんと説明を受けてください。必要であれば薬を変えることも相談すると良いでしょう。

副作用についても理解する

服薬により、食欲の減退や眠気、だるさや吐き気を感じることがあります。どんな薬にも、必ず副作用があるものだと理解してください。いかに副作用を少なくし、治療を続けていくかが私たちの役割です。

治療により発作が消失しても、すぐに服薬をやめてしまうと、ほとんどの方が再発してしまいます。したがって、発作がなくなっても1~2年間維持療法を続けることが、完治を目指すためにも重要です。

精神療法

薬で発作を抑える治療を行うと同時に、発作時に感情をコントロールできるようにする認知行動療法が有効です。

認知行動療法では、その人の「物事の受け取り方」や「ものの見方」の癖を発見して、その受け止め方を「物事がうまく進む」方向へと変化させてゆきます。人によっては薬より効果が早くあらわれることもあり、辛い気持ちを軽くするのに効果的と注目されています。

パニック発作時の感情のコントロール

この病気が生命に危険が及ぶようなものではないことを理解し、病気のメカニズムをしっかり認識して発作時に冷静な対処ができるようにします。

「ドキドキしてきた!どうしよう!!」と思うのではなく、「また始まったな、前回は○日だった。なんとかやり過ごそう」などと考えられるようにします。

苦手な場所に少しずつ出かける

症状が落ち着いてきたら少しずつ苦手な場所へ出かけるようにします。電車が苦手な場合なら、最初は家族と一緒に各駅停車に乗り、慣れてきたら一人で乗る、次は急行電車に…という具合です。

当院はさまざまなプログラムもご用意しております。デイ・ナイトケア、思春期ナイトケア、復職のためのリワークプログラムなど、ご自分にあったものをお選びいただけます。

パニック症の4つのポイント

1.カフェインをなるべく摂取しない

カフェインは脳を刺激しパニック発作を誘発するため、コーヒーなどを飲んだ後にパニック発作が起きやすくなります。なるべくカフェインを避けるようにしましょう。

2.換気の悪い場所を避ける

二酸化炭素もパニック発作の原因の一つと考えられています。体内に二酸化炭素が増えると呼吸が増え、息苦しさから不安になってパニック発作を引き起こします。部屋の換気は時々行い、換気の悪い場所は避けましょう。

3.家族に協力してもらう

発作が起きた時に、助けてくれる人がいると思うだけで、患者様は安心感をもつことができます。発作が充分にコントロールされるまでは、患者様の外出にご家族や友人が同伴することは、とても助けになります。

4.早期に治療を受ける

投薬など、病院(メンタルクリニック)でなければ受けられない治療が必要な病気です。早期の治療開始により、慢性化・重症化を防ぐことができますので、ぜひ早期に診察にいらしていただきたいと思います。