思春期妄想症

思春期妄想症って?

自分のおならや腋臭、自分の視線、自分の容貌が醜いことなどで他人に不快感を与えているという妄想をもつ病気です。(それぞれの症状から自己臭症、自己視線恐怖、醜形恐怖とも言われています。)「臭い」と言われる、鼻をつままれる、嫌な顔をされるなどと確信(関係妄想)しています。

特徴的なのは、他人に不快感を与えているため、自分は嫌われている、避けられているという妄想(忌避妄想)をもつことです。そして他人に申し訳ないと考えてしまいます。10歳代中頃から後半にかけて好発するので、このように呼ばれています。

統合失調症に似た症状ですが

統合失調症とは全く異なります。思春期妄想症で関係妄想が出現しやすいのは、中間的な対人距離(挨拶したものかどうか悩むような関係)の人の前にいるときです。家族などごく親しい人や、逆に赤の他人の前では気になりません。統合失調症の場合は、赤の他人(時にはTVに映っているアナウンサー)も自分のことを言っているように感じてしまいます。

思春期妄想症の主な症状

自己臭症の症状

  • 「おなら、便のにおい」「精液、尿、おりもののにおい」「口臭」「腋臭」など、自分から発せられるにおいを過剰に気にしてしまう、または自分が発しているのだと確信してしまう。
  • 自分のにおいのせいで相手を不快にさせている、自分を避けていると思い込んでしまう。
  • 自分のにおいを抑えようと、気になる箇所を一日に何度も洗い続けたり、消臭剤を過剰使用したり、下着を変えたりする。

自己視線恐怖の症状

  • 自分の目線のせいで相手が不快に感じているように思えてならない。
  • 相手の顔を見て話ができない。
  • 視線の置き場に困るときがある。
  • 人と話しているときに、反射的に目を閉じてしまう。

醜形恐怖の症状

  • 自分の容姿の一部分または全体が醜い、または汚いと感じてしまう。
  • 身体に小さな欠陥がある場合(例えば目がわるい、鼻がわるい、歯並びがわるいなど)、過剰に不安に思って一日に何度も気にしてしまう。
  • 周囲の人から「あなたは醜くない、汚くない、気にしすぎ」と言われても、信じることができない。
  • 頻繁に鏡で自分の容姿を確認してしまう。逆にまったく鏡で自分を見ようとしない。
  • 自分の容姿が醜いせいで、人間関係がうまくいかないと思い込んでしまう。

共通の症状

  • 対人状況を避けるようになる。
  • ひきこもって外出できない、不登校になる。
  • 死にたい気持ちがあらわれる。(手首自傷、自殺企図など)

思春期妄想症の原因

「両親に対しての不満・敵意」「性的なこと」「学校・職場のこと」などが心理的葛藤となってあらわれることがあります。

思春期妄想症が発症しやすい年代と性別

  • 10代中頃~後半
  • 男性(女性より多少多い)

思春期妄想症の経過

大規模な調査はまだ行われていませんが、治療をすれば社会的な機能(登校できる、教室で落ち着いて座っていられる)は多くの場合回復します。臭いや容貌、視線は少し気になりますが、治療を継続していれば日常生活に支障が生じることはまれです。

メンタルクリニックいたばしの治療(思春期妄想症の場合)

服薬

統合失調症などの妄想に有効な抗精神病薬は、あまり効果がありません。抗不安薬を用いる場合もありますが、依存を形成しない薬(SSRI)の方が好ましいと思います。関係妄想のため当初は苦痛で仕方なかった教室でも、比較的安心して過ごせるようになります。その頃になると、「考え過ぎかな」、「本当に臭っているのかな」といった、健康な考え方が少し生まれてきます。その健康な部分を強くサポートするのが、心理療法です。

心理療法

患者様の状況に応じて、カウンセリング、箱庭療法などの心理療法を行います。