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パニック症(パニック障害)

パニック症の主な症状

パニック発作

突然、何の前触れもなく、代表的な例として次のような症状が報告されています(DSM-Ⅳによる診断基準)。これらのうち4つ以上が数分~数十分あらわれ、ほぼ1時間以内に消失します。

  • 動悸がする、心拍数があがる
  • 汗が出る
  • 体が震える
  • 息切れがする、息苦しい
  • 窒息する感じがする
  • 胸が痛い、胸苦しさがある
  • 吐き気、おなかの苦しさ
  • めまい、ふらつき、気が遠くなる感じ
  • 現実でない感じ、自分が自分でない感じ
  • 自分がコントロールできない、変になるかもしれないことへの恐怖
  • 死ぬことへの恐怖
  • 感覚まひ、うずき
  • 冷たい感覚、あるいは熱い感覚がする

※お子さんの場合
子どもの場合は、泣いたり叫んだりと表現が強く出たり、吐き気や便秘が症状としてあらわれることがあります。

予期不安

予期不安はパニック発作を経験し、何度も繰り返すうちに「また発作がくるのではないか」と、継続的に不安や恐怖を感じることです。

  • また発作が起きるかもしれない。
  • 次の発作はもっとひどいかもしれない。
  • 発作が起きたら死んでしまうのではないか。
  • 気が変になってしまうかもしれない。
  • 事故(車の運転など)を起こしてしまうのではないか。
  • 人前で倒れてしまうかもしれない。
  • 人に迷惑をかけてしまうかもしれない。

発症が1回だけでも、予期不安が1か月続く場合は、パニック症(パニック障害)の可能性があります。

広場恐怖

広場恐怖とは、パニック発作からくる予期不安がひどくなると、以前に発作が起きた場所や似た状況の場所を避けるようになり、助けがない、逃げられないような場面、場所に対しても強い不安を感じてしまい行けなくなってしまうことです。

  • 電車やバス、飛行機などに乗れない
  • 美容院、歯医者、映画館などの囲まれた場所
  • 人混み、ショッピングモールなどの人が多い場所
  • 高速道路、渋滞など、すぐに逃げられない場所
  • 一人で外出できない
  • 外出が怖い、家から遠くに行けない
  • 一人でいることができない
    など
不安の強い場所に行かなくなると発作は減少しますが、社会生活に支障をきたす場合があります。そのため、二次的にうつ病などの他の精神疾患を併発する傾向があります。

パニック症って?

一般的にいう「パニック」とは、災害や事故などの非常事態に出会ったときに起きる混乱状態のことで、普段どんなに冷静な人でも、衝撃的な状況に見舞われればパニックに陥り、慌てたり取り乱したりするものです。これに対し「パニック症」は、実際には何も特別な事態が起きていないのに、突然不安に襲われ、胸がドキドキして苦しくなったり、めまいや震えなどの発作(=パニック発作)が出てきたり、日常生活に支障が出る状態を言います。こうした症状をパニック症もしくはパニック障害と呼びます。

繰り返される発作によって起こる予期不安

一度このパニック発作が出ると、発作が起きていないときでも「またあの発作が起きるのではないか」という不安を常に抱える状態になり、発作の恐怖とともに、発作によって他人に迷惑をかけるのではないか、取り乱して恥をかくのではないか、誰も助けてくれなかったらどうしようといった不安(=予期不安)も抱えることになります。
さらに不安が強まると、不安を感じやすい場所や似た状況を避けるようになり、その結果、外出や交通手段の利用に制限が生じ、社会生活に影響が出る場合があります(=広場恐怖)。

20人に1人がかかるパニック症

以前は「不安神経症」の一つの症状とされていましたが、薬による治療が有効なことから、現在では独立した病気として扱われるようになりました。およそ20人に1人がかかる病気といわれていますが、病気だと気付かない人も多く、適切な治療が行われないまま慢性化・重症化してしまうことがあります。パニック症(パニック障害)は早めに適切な治療を開始することで、症状の改善や回復が期待できる病気です。気になる症状がある方は、早めに受診していただくことをお勧めします。

パニック症に似た身体の病気

心筋梗塞、狭心症、甲状腺機能亢進症(バセドウ病)、機能性低血糖症、喘息、メニエール病、過換気症候群などでも、パニック発作に似た症状があらわれることがあります。そのため、症状が続く場合には、医師による適切な診断が大切です。

パニック症の原因

パニック症(パニック障害)の原因は、脳と脳内の神経伝達物質(セロトニン・ノルアドレナリンなど)が関与していると考えられています。
人間の脳では、さまざまな情報を伝える物質が分泌されています。ストレスや過労などの影響でノルアドレナリンが増えると、神経が興奮し動悸や呼吸の乱れが生じやすくなると考えられています。その際、セロトニンの働きにも変化が生じ、不安や恐怖を強く感じることが、パニック発作に関与すると考えられています。
また、直接の原因ではありませんが、パニック症(パニック障害)の方の一部には、炭酸ガスや乳酸、カフェインなどの摂取によって発作が誘発されやすい傾向が報告されています。
さらに、発症の数か月前に大きなストレスを経験している方が多いという報告もあります。

パニック症になりやすい性格

  • 真面目、几帳面、完璧主義、責任感が強い
  • こだわりが強い
  • 感受性が高い
  • 不安や恐怖を感じやすい(怖がり)
  • 内向的(引っ込み思案、内気)
  • 依存性がある

これらの性格を持っているからといって、必ずパニック症(パニック障害)になるわけではありません。ただし、不安を感じやすい傾向のある方では、発症と関連があると指摘されています。
また、パニック症が続くことで気分の落ち込みなど他の精神的な不調を伴う場合があり、過去にうつ病を経験した方では、発症リスクが高いと報告されることもあります。

パニック症が発症しやすい年代と性別

  • 20~30代
  • 女性の方が多い(男性の約2~3倍)

パニック症の治療法

服薬治療と認知療法

パニック症(パニック障害)の治療には、抗うつ薬や抗不安薬が用いられることがあります。抗うつ薬は、脳内の神経伝達物質(セロトニン・ノルアドレナリンなど)の働きに影響を与えるとされ、発作の抑制に役立つ場合があります。また、パニック発作が起きた際には、頓服として抗不安薬が処方されることもあります。
服薬治療とあわせて、認知行動療法が行われることもあります。認知行動療法とは、物事の受け止め方や考え方の傾向を理解し、より柔軟な思考を身につけることで、不安への対処を支援する心理療法です。個人差はありますが、症状の軽減に役立つ可能性がある治療法の一つとして報告されています。

薬による発作の抑制

治療の一つとして、抗うつ薬や抗不安薬が処方されることがあります。これらの薬は、脳内の神経伝達物質の働きに影響を与えることで、不安や発作が起こりにくくなる場合があります。発作が減少することで、「また発作が起こるのではないか」という不安や恐怖の軽減につながることが期待されています。

<抗うつ薬の種類>
  • SSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)
    セロトニンに作用する薬で、比較的新しいタイプの抗うつ薬です。
  • 三環系抗うつ薬
    古くから使われている抗うつ薬で、副作用として抗コリン作用による症状が出やすいことがあります。
<抗不安薬>
  • ベンゾジアゼピン系
    パニック発作時に、頓服として使用される場合があります。

薬への不安はドクターに相談を

パニック症(パニック障害)の治療では、服薬が選択されることがあります。
しかし、抗うつ薬は、すぐに効果が出るものではありません。効果が出るまでは、数週間継続的に服薬する必要があります。

また、その患者様に「合う」薬が見つかるまで、何度か薬を変えたり足したりしなければならないため、長期間薬を飲み続けることになり、不安を感じることもあるでしょう。まずは、病気を治すために薬が必要であることを理解してください。

もし薬の服用で不安や疑問点があるようでしたら、自己判断で中止せずに、まずは担当のドクターに遠慮なく相談してください。

副作用についても理解する

抗うつ薬の服薬により、食欲の減退や眠気、だるさや吐き気を感じることがあります。しかし、副作用は飲むにつれだんだん軽くなる傾向があります。まずは、我慢をできる範囲であれば、継続して服用してみてください。
どんな薬にも、程度の差はありますが、副作用があるものだと理解してください。いかに副作用を少なくし、治療を続けていくかが私たちの役割です。

治療により発作が消失しても、すぐに服薬をやめてしまうと、再発してしまう傾向があります。したがって、発作がなくなっても1~2年間維持療法を続けることが、完治を目指すためにも重要と言われています。

精神療法(認知行動療法)

認知行動療法とは、ストレスなどによって偏りがちな「認知」や「行動」に気づき、それを見直すことで、気持ちや身体の負担を軽減することを目指す心理療法です。一般的に、「認知」や「行動」は自分の意志で調整しやすいとされる一方、「気持ち」や「身体の反応」は直接コントロールするのが難しい傾向があるとされています。

認知行動療法では、その人の「物事の受け止め方」や「考え方の癖」を理解し、より柔軟な視点を持てるよう支援します。個人差はありますが、症状の軽減に役立つ可能性がある治療法の一つとして報告されています。

パニック発作時の感情のコントロール

パニック症(パニック障害)は強い不安や恐怖を伴う病気ですが、生命に直接危険を及ぼすものではないとされています。病気の仕組みを理解し、発作時にどのように対応するかをあらかじめ知っておくことで、落ち着いて対処しやすくなることがあります。

パニック発作が起きたときには、深呼吸をして症状が落ち着くのを待つ方法が役立つ場合があります。また、対処方法については、医師やカウンセラーと相談し、自分に合った方法を確認しておくことが推奨されています。

苦手な場所に少しずつ出かける(暴露療法)

症状が落ち着いてきたら少しずつ苦手な場所へ出かけるようにします。電車が苦手な場合なら、最初は家族と一緒に各駅停車に乗り、慣れてきたら一人で乗る、次は急行電車に…という具合です。

当院では、患者様の状態に応じて、認知行動療法、カウンセリングを行っています。

パニック症の5つのポイント

1.疲れ、ストレス、睡眠不足を避ける

精神的なストレスや身体の疲労、睡眠不足は、発作のきっかけになることがあるとされています。まずは十分な休養をとり、規則正しい生活を心がけることで、心と身体のバランスを整えやすくなる場合があります。

2.カフェインをなるべく控える

カフェインは脳を刺激しパニック発作を誘発するため、コーヒーなどを飲んだ後にパニック発作が起きやすくなります。なるべくカフェインを控えるようにしましょう。
<カフェインを多く含む飲み物>
コーヒー、緑茶、紅茶、コーラ、エナジードリンクなど

3.換気の悪い場所を避けるようにする

二酸化炭素もパニック発作の原因の一つと考えられています。体内に二酸化炭素が増えると呼吸が増え、息苦しさから不安になってパニック発作を引き起こします。部屋の換気は時々行い、換気の悪い場所は避けるようにしましょう。
また、炭酸飲料には二酸化炭素が含まれており、人によっては不快感を覚える場合がありますので注意が必要です。
さらに、発作時に過換気症候群(過呼吸)と誤解して紙袋で呼吸をさせると、かえって症状が悪化することがあるため、自己判断での対応は避け、必要に応じて医師に相談してください。

4.家族に協力を仰ぐ

発作が起きた時に、助けてくれる人がいると思うだけで、患者様は安心感をもつことができます。発作が充分にコントロールされるまでは、患者様の外出にご家族や友人が同伴することは、とても助けになります。
サポートをされる方は、ご自身だけで抱え込まず、無理のない範囲で協力してください。パニック症(パニック障害)の治療は、長期にわたる場合もありますので、支える方の疲労も考慮することが大切です。患者様ご自身が気兼ねなく治療を続けられるよう、ご家族全体で支えてあげてください。

5.早期に治療を受ける

パニック症(パニック障害)は、医療機関での治療が推奨される病気です。薬物療法や心理療法などを早期に始めることで、慢性化や重症化を防ぐ可能性があるとされています。気になる症状がある場合は、受診を検討してください。
また、気持ちを誰かに聞いてもらうだけで、楽になる方もいます。心療内科や支援施設のほか、ご家族やご友人に相談することも大切です。

ご予約・お問い合わせ:03-3961-9603