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統合失調症

統合失調症の主な症状

幻聴

主に幻聴が多くみられます。

  • 「お前は生きている価値がない」「馬鹿だ」などの本人を批判、批評するような幻聴。
  • 「ここに近寄るな」「逃げろ、離れろ」などの命令するような幻聴。
  • 「今、建物に入りました」「走っています」などの本人を監視するような幻聴。
  • 幻聴との対話でぶつぶつ言ったり、怒ったり笑ったり感情を表に出す。

幻聴以外にも、下記のような症状があります。

  • 幻視(実際には存在しないものが見える、お子様にみられます)
  • 幻嗅(実際には存在しない匂いを感じる)
  • 幻触(実際には触れていないのに、触れられると感じる)

妄想

明らかに誤った内容なのに信じてしまい、周りが訂正しようとしても受け入れない。

  • 「自分を襲う奴が紛れ込んでいる」「私のことをつけてきている」といった被害妄想をしてしまう。
  • 「私には世界を動かす力がある」「私は神の申し子だ」といった誇大妄想をしてしまう。

日常生活や社会生活における障害

  • 会話が続かない。
  • 話題がころころ変わる、ピントが合わない。
  • 相手の気持ちを考えられない。
  • 感情の動きが少なくなる。
  • 作業ミスが増える。
  • 整理整頓ができない。
  • 清潔面に気を遣わなくなる。
  • 無口になる。
  • 外に出たがらなくなる。

病識の障害

  • 自分が病気であることがわからなくなる(幻覚や妄想が現実にあると思い込んでしまう)。

初期のうつ状態

全ての方ではありませんが、うつ病とまったく区別のつかないうつ状態で発症することがあります。思春期に発症しやすい病気ですから、慎重な診断が重要になります。これらの症状が1か月以上、また継続的に何らかの障害が6か月以上続く場合、統合失調症の可能性があります。詳しくは、専門機関にお尋ねください。

統合失調症って?

誰もいないのに人の声が聞こえてくる、街ですれ違う人が私を襲おうとしている、といった幻覚、妄想などが主な症状の病気です。また、これらの症状を患者様自身が病気だと認識するのが難しくなる特徴があります。以前は、精神分裂病(せいしんぶんれつびょう)と言われていました。

およそ100人に1人がかかる病気と言われ、特別珍しい病気ではありません。しかし、日常生活や社会生活においても、会話が成り立たなかったり、意欲がわかなかったりといった障害も出るため、周囲からは「社会性がない」「常識がない」「怠けている」といった誤解もうけやすくなります。会話が成り立たないといっても、まったく話が通じないわけでもありませんし、きちんとした治療を行うことで、ほとんどの患者様は回復していきます。

統合失調症の原因

はっきりした原因はまだわかっていませんが、脳で働く神経の伝達物質の働きが悪くなっていることと、脳自体の異常と考えられています。発症が進学・就職・独立・結婚などの人生の進路における変化がきっかけとなることもありますが、あくまできっかけであって原因ではありません。

統合失調症が発症しやすい年代と性別

  • 10代後半~20代
  • 男女差は特にありませんが、一般的に男性の方が早く発症します。

統合失調症の経過

統合失調症は、いくつかの段階を経て進行するといわれていますが、個人差が大きく、すべての患者様が同じ経過をたどるとは限りません。症状の移行は連続的ではなく、繰り返されることもあります。ただし、適切な治療とサポートによって、その経過は大きく変わる可能性があります。

前兆期

  • 寝つきが悪い、眠りが浅いなどの睡眠の変化
  • 食欲不振などの食欲の変化
  • 音や光に敏感になる
  • 不安や焦り、イライラを感じやすくなる

これらの変化は日常生活でも起こりうるため、うつ病などと似ていて気づきにくいことがあります。

急性期

  • 強い不安感が続く
  • 眠れない状態が続く
  • 実際にはないものが見える・聞こえる(幻覚)
  • 事実と異なることを強く信じ込む(妄想)

この時期には統合失調症の特徴的な症状が現れ、考えがまとまらなくなったり、周囲とのコミュニケーションが難しくなることがあります。

休息期(消耗期)

  • 体がだるく疲れやすい
  • 意欲がわかず外出を控えるようになる
  • 自分に自信が持てなくなる

急性期の症状が落ち着くと、感情の起伏が乏しくなる、無気力になるといった状態が現れることがあります。体力がまだ回復していないため、少しの刺激で再び症状が出やすい時期でもあります。

回復期

  • 気持ちに少し余裕が出てくる
  • 周囲のことに関心が戻ってくる

徐々に意欲が改善してきますが、記憶力や集中力の低下が残ることもあります。

治療方法

統合失調症の治療は、主に薬物療法と心理療法を中心に行われます。

薬物療法

統合失調症の症状を安定させるために、服薬は非常に重要な役割を果たすと考えられています。主に抗精神薬が用いられますが、患者様の症状に応じて、抗不安薬、抗うつ薬、睡眠導入薬などが処方されることもあります。また、副作用を和らげるために別の薬が処方される場合もあります。

<抗精神薬>

抗精神薬には、第一世代抗精神薬(定型抗精神薬)と第二世代抗精神薬(非定型抗精神薬)があり、それぞれ効果や副作用の特徴が異なります。

症状が改善してきても、自己判断で服薬を中断すると、症状が再び現れたり悪化するリスクが高まります。抗精神薬には再発を防ぐ効果も期待されますので、医師の指示に従って服薬を続けることが大切です。

一方で、服薬によって副作用が現れることもあります。副作用の種類や程度には個人差がありますので、少しでも気になる症状が出た場合は、自己判断をせず、必ず医師にご相談ください。

心理療法

心理療法は、病気の症状や原因について理解を深めること、服薬を継続すること、さらにストレスとの上手な付き合い方を学ぶことを目的としています。

認知行動療法をはじめ、さまざまな心理療法があり、患者様の状態に応じて選択されます。心理療法は、症状の軽減だけでなく、社会生活への適応や再発予防にも役立つと考えられています。

再発について

統合失調症は、適切な治療(薬物療法や心理療法など)を継続することで、多くの方が穏やかな日常生活を送ることができています。しかし、再発しやすい傾向があることも知られています。特に、ご自身の判断で服薬を中断することは、再発の大きな原因となることがあります。

再発を繰り返すと、症状が落ち着くまでに時間がかかり、以前の状態に戻ることが難しくなる場合があります。また、記憶力や注意力が低下するなど、認知機能に影響が出ることもあります。

再発の予防

医師の指示通りに服薬を続ける

症状が改善しても、自己判断で薬を減らしたり中断しないようにしましょう。抗精神薬は急性期の症状を抑えるだけでなく、再発を防ぐ効果も期待されています。

定期的な通院

医師と定期的に面談し、体調や症状の変化を伝えることで、適切な治療を継続できます。
また、早期に再発の兆候を発見し、適切な対応をとることにもつながります。

ストレスの管理

ストレスは統合失調症の症状を悪化させたり、再発のきっかけとなる場合があります。規則正しい生活を心がけ、リラックスできる方法を見つけてストレスを軽減することが大切です。

周囲の方の理解とサポート

症状への理解

患者様が幻聴や幻覚を訴えられた際には、まずはその体験を否定せずに耳を傾けてください。実際にはない声が聞こえたり、監視されているように感じて強い不安や恐怖を抱えている場合があります。まずはその気持ちを理解しようと努めることが大切です。否定的な対応は孤立感を深めてしまう可能性があります。

患者様に何かを伝えるときは、はっきりと具体的に、一度に多くの情報を伝えないよう心がけるとコミュニケーションが取りやすくなります。

再発のサイン

発症後5~10年ほどは再発のリスクが高いといわれています。サインは人によって異なりますが、その方に特有のパターンが見られることもあります。

  • 音や光に敏感になる
  • 焦りや不安を口にする
  • 不眠が続く
  • 食欲不振
  • イライラした様子
  • 集中力の低下、ぼんやりしている
  • 周囲に対して疑い深くなる

このような変化に気づいた場合は、早めに受診を勧めてあげてください。

当院では、患者様のご家族からの相談も承っています。

自殺のリスクについて

統合失調症は、自殺のリスクが高い精神疾患の一つとされています。社会生活への不安、症状の悪化や再発の恐れ、妄想や幻覚、抑うつ状態などが複合的に影響していると考えられています。
患者様が「消えたい」「いなくなりたい」といった言葉を口にされた場合は、ためらわずに専門機関への相談や受診を促してください。

周りの方も無理をしないで

患者様を支えることは大切ですが、ご家族や周囲の方の心身の健康も同じように大切です。

  • ご自身の健康に気を配る
  • 自分のための時間を持ち、休息やリフレッシュを心がける
  • 信頼できる相手に悩みを相談する
  • 友人や地域とのつながりを保つ
  • 福祉サービスや地域支援を活用する

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